請求業務の手順や課題は?請求業務を効率化する手段についても解説!
請求業務とは、自社が契約上定められた期間内で行った仕事に対して、取引先へ支払いを求める業務のことです。代金支払いに繋がる重要な業務ですが、ミスが起こりやすいなど不安を感じている人も多いでしょう。
この記事では、請求業務の手順や請求業務における課題などを解説します。請求業務を効率化する手段や、請求方法の種類などもまとめているので、参考にしてください。
目次
請求業務とは
請求業務とは、商品・サービスの提供に伴う、代金を受け取るための業務全般を指す言葉です。具体的には、請求書発行や代金回収などの業務が含まれています。
請求書の発行に関しては、法的には義務ではありません。そのため、売り主と取引先の間で口約束をして、代金をやり取りすることも理論上は可能です。しかし一般的には、取引や支払いを証明するための書類として、請求書を発行するケースが多いといえます。
請求書の役割
請求書の役割は、代金未払い、支払い金額の間違いといったトラブルを未然に防ぐことです。そもそも請求書とは、納品物の対価を取引先に請求する際に用いる書類です。請求書の書面において取引内容や代金を明示することによって、取引の有無や内容・金額などの事実を証明する役割も担います。
また、請求書は所得税法で7年間の保管を義務付けられている証憑書類の1つです。証憑書類は税務調査や法的措置などの際に、取引を証明する正式な証拠品としての役割を果たします。
請求方法の種類
請求業務を遂行するための請求方法には、締め請求と都度請求の2つがあります。それぞれについて解説します。
締め請求
締め請求は、一定の期間ごとに行われた取引の代金を一括で請求する方法です。締め請求のメリットは、請求書の発行回数を少なくしたり、支払いを1度に処理できたりすることです。しかし、代金未回収のリスクが伴ったり、与信審査に時間がかかったりする点には注意しなければなりません。
商品やサービスを定期的に提供する場合や、信用できる顧客との長期的な取引に対して請求する場合に向いています。
都度請求
都度請求は、サービスや商品の提供ごとに、請求書を発行する方法です。取引の規模が小さかったり、取引が継続的ではなかったりする場合に向いています。しかし、取引ごとに請求書を発行する関係上、回数が多いと請求業務担当者の負担はどうしても増えがちです。業務上、都度請求でも問題ないかどうかに留意するとよいでしょう。
請求業務の手順
請求業務の手順は以下のとおりです。ほぼ各社で共通しているものの、システムにより異なる場合もあるため流れをつかむ参考にしてください。
1.請求金額を確定する
請求業務で始めに行うのは請求金額の決定です。金額を決める際は以下のような情報を参考にしましょう。
- 取引の内容
- 商品やサービスの単価
- 商品やサービスの数量
- 請求の種類
また、請求内容を確定させる際は、事前に取引先へ確認をとっておく必要があります。認識の相違があると、予定日に入金がないといったトラブルに発展しかねないため注意が必要です。請求金額に関するミスは、取引先からの信用を失うことに繋がるため注意しましょう。
2.請求書を発行・作成する
前項で確定した金額をもとに請求書を発行・作成します。請求書の内容について法的な定めはありません。ただし、取引内容や入金先を明示するものとして、以下の項目は記載しましょう。
- 請求先の宛先
- 取引金額
- 取引年月日
- 発行者情報
- 振込先
記載漏れを防ぐためには、請求書のテンプレートを活用する方法もあります。なお、請求書の作成は主に電子データ作成と紙へ印刷するケースの2種類があります。取引先に合わせ、適切な方法で発行・作成するとスムーズです。
3.請求書を封入・送付する
続いて封入・送付の作業に移ります。請求書の送付は郵送のほか、メールやチャットツールで請求書のデータを送る方法も増えています。いずれの手段を取るにしても、配送前に宛先と内容をチェックすべきです。改ざんなどのリスクを減らすために、請求書には印鑑を押すことが望ましいでしょう。
4.入金を確認する
請求書の送付後は、取引先からの入金を確認します。入金の有無だけではなく、請求書の金額と入金された金額が合致しているかにも注目しましょう。入金額に誤りがあった場合は、取引先に連絡するなど対応が必要です。不足分の入金を依頼したり、金額が多ければ返金対応をしたりする必要もあります。
5.消込処理をする
入金の確認後は消込処理を行います。消込処理とは、帳簿上で入金を管理する業務のことです。帳簿へ計上している売掛金の入金が確認できたら、該当するデータを削除したり、入金伝票を作成したりする必要があります。売掛金は性質的に収益として扱えないため、消込処理をすることで月次決算や締め作業が可能になります。
6.未回収金があれば催促する
期日までに入金が確認できなかった場合は、取引先に支払いの督促をしなければなりません。基本的にはメールや電話で先方の担当者に連絡を行い、支払いを促す流れです。
しかし、連絡が取れなかったり支払いが滞ったりしている場合は、催促状・督促状を送付して対応することもあります。催促状・督促状に対しても反応がなければ、法的措置を講じることも検討するべきでしょう。
7.請求書を保管する
ここまでの流れが完了したら、請求書を適切な期間保管します。保管の期間は次のとおりです。
種類 | 保管期間 |
---|---|
法人 | 原則7年間 |
個人 | 原則5年間 |
請求書の保管期間は、発行日や受領日が起算点ではないため注意が必要です。法人の場合は、事業年度の確定申告書の提出期限の翌日が起算点となります。個人の場合は、該当する年の確定申告期限日の翌日が起算点です。
請求業務における課題
ここでは、請求業務で問題になりやすいポイントを解説します。
工程が多く手間がかかる
請求業務は内容が多岐にわたるだけでなく、手作業で対応する部分も多く、手間がかかりがちです。代表的な請求業務には以下のようなものがあります。
- 請求額の計算
- 金融機関へのデータ送付
- 請求書の印刷や封入
- 収納状況のチェック
毎月、同様の対応が求められるのも請求業務の手間が多くなる理由です。さらに、金額の間違いなどのトラブルに対応したり未回収の催促をしたりするなど、通常の業務に加えて対応が増えることもあります。
人的なミスが起こりやすい
請求業務は、データの手入力や金額の手動計算などにより、人的なミスが発生する可能性が高くなります。複数人で対応できる体制にしたり、ダブルチェックを導入したりするとミスを防ぎやすいものの、リソースの負担が大きくなってしまうため困難なケースも多く、問題になりがちです。小さいミスが信頼の低下に繋がりかねないため注意しましょう。
請求書の保管に手間がかかる
請求書は、一定の期間保管することが法律で定められていますが、保管には手間がかかります。請求書を紙媒体で管理している場合は、請求書のファイリングや整理なども必要です。取引先や顧客が多くなると、請求書の数が増える分、管理スペースも用意しなければなりません。
未回収金のリスクが伴う
請求業務には未回収金に関するリスクがあります。具体的には、以下のようなリスクが伴うのでチェックしておきましょう。
- 催促などの対応にコストが発生する
- 収入と支出のバランスが悪くなる
- 対応する担当者の心理的負担が大きい
責任の所在が曖昧になりがち
請求業務は、誰が担当しても問題ないように思われる一方で、責任の所在が曖昧になりがちなことが懸念されます。一般的には、企業で請求業務を担うのは経理担当者です。しかし、会社の規模や業態によっては、請求業務を営業担当者が行う場合もあります。請求業務のミスは大きな問題に繋がる可能性もあるため、責任の所在が曖昧になる状況には注意すべきです。
横領が起こる可能性がある
横領が起こる可能性があることも、請求業務における課題です。請求業務が属人化し過ぎると、横領の発覚が遅れることも懸念されるでしょう。請求業務を手作業で行っている職場ほど、横領が起こりやすくなるため注意が必要です。
請求業務を効率化する手段
請求業務の効率化を実現するには以下のような手段があります。
業務フローの改善を目指す
請求業務を効率化する方法の1つに業務フローの改善が挙げられます。業務フローを改善するには、業務内容を見直して課題を洗い出したり、効率的な業務の進め方を考えたりするとよいでしょう。請求業務に必要な時間などを明確にすることも大切です。
書類の電子化を進める
書類の電子化を進めると請求業務の効率化が可能です。紙媒体の請求書に比べると、郵便物の発送や受け取り・開封などが不要になるほか、請求書の保管が簡単になったり、システム上で自動計算ができたりするメリットがあります。また、オンライン上で請求書データのやり取りができれば、時間や場所の制限もありません。
請求書業務システムを導入する
請求書業務システムを導入すると、請求業務に関する作業が自動化できるため、効率化を実現しやすいでしょう。請求書業務システムでは、請求金額の計算をはじめ、請求書の発行・送付・消込などを自動化することが可能です。結果的に、請求業務の工数や人員を削減できたり、人的ミスを減らせたりする効果も期待できます。
アウトソーシングを実施する
アウトソーシングを実施することでも請求業務の効率化を実現できます。請求業務におけるアウトソーシングとは、代行業者に外注することです。業者によっては、代金回収や入金確認、与信審査まで代行してくれるところもあります。アウトソーシングを活用する場合は、業務の効率化だけではなく、担当者の精神的な負担を減らすのにも役立つでしょう。
まとめ
請求業務は内容が多岐にわたるほか、ミスが許されない性質もあるため、担当者にとって負荷の大きな業務であるといえます。スムーズに進めるためには、請求業務を効率化することが欠かせません。
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